こんにちは、AJです。
10年に1度の豊作年だったんじゃないかとAJは思っている、2018年ドラフト組。
この2018年組は、このオフシーズンがルーキーコントラクトエクステンションの契約を勝ち取れるかどうかの重要な期間でした。シーズン開始前日までが契約更新の期限のため、先週までの間に多くの選手の大型契約報道がされましたが、一方で契約更新がされずNBA選手としての将来に黄信号が灯る選手もいます。
今回その代表格になりそうなのがSacramento KingsのMarvin Bagley Ⅲ(マーヴィン・バグリー・サード)。
Bagleyはドラフト全体2位指名を受けNBA入り。サンズのファイナル進出に貢献したDeandre Aytonの直後に指名され、既にオールスターになっているLuka DoncicやTrae Youngよりも早く指名された選手です。
ドラフト前の大学時代、その身体能力、ゴール下周りのオフェンス力とリバウンド力からAmare Stoudamire(アマレ・スタダマイヤー)と比較された程。特にリム周りのシュートに関しては確率が73.4%と、Amare比較も納得の驚異的な数字でした。
カレッジバスケ名門のDuke大に進学し、1年在籍した中で平均21得点、11.1リバウンドを記録。30得点でのダブルダブルを11度記録するなど、モンスター級の活躍を見せ弱冠19歳でトップスカウトから注目されていた選手です。
しかしNBA入りから3年が経過した今、契約延長は行われず。交渉するどころか、チーム側はBagleyとの契約延長自体を考えていなかったとのこと。
その報道だけでもチームとの将来には暗雲が立ち込めていましたが、今回、開幕に向けてKingsはBagleyをローテーションに加えない事を発表しました。
これは彼のエージェントを務めるJeff Schwartzも黙ってはおらず。すぐに不満いっぱいの声明を出しました。
エージェントが怒るのも無理はありません。
昨シーズン中にエージェントはチームとの相性に疑問を感じBagleyの移籍を要求。これに伴ってKingsはBagleyの放出先を探していました。トレード話はあったそうですがチームはこれを断念します。理由は「彼の価値に見合うトレードではなかった」というもの。
トレードをしようとしていたとはいえ、この行動はチームがBagleyに高い評価を持っていた裏返しでもあります。先日話したBen Simmonsがトレードされない理由が良い例ですね。
となれば、将来設計のピースになるかどうか見定める為のもう1シーズンになるか、それともトレードの為にショーケースの意味合いも含めて試合に出すか。それが定石かと思いますが、試合に出してくれないとなると、もういらないと言っているようなもの。
これにエージェントは『迷走している』とKingsを非難したのでした。
「開幕のローテーション」には入らないと言っているだけなので、今後入ってくるのかもしれませんが、思えばKingsは彼を獲得した2018年からBagleyをぞんざいに扱っていた節があります。
ドラフト2位で指名された時、見立ては「直ぐに通用するスタメン級のビッグマン」でした。
守備面では疑問視されていたものの、ルーキーは大抵ディフェンスが足りてないものです。Win-Nowモードでもなかったのでスタメンで使えば良かったのに、当時HCのDave Joegerは彼をスタメン起用しようとはしてくれませんでした。
ヘッドコーチが現在のLuke Waltonになってから、Bagleyの可能性に期待を見せます。そして昨シーズンからやっとスタートに定着したと思ったところでした。
しかし、今Luke Waltonが勝つチームになるために試そうとしているのがスモールラインナップ。当初はそこに走れるビッグマンとしてBagleyは入っていたはずですが、Waltonは昨年拾い物ルーキーだったと言われたHalibertonや、今年のドラフトで獲得したDavion Mitchellの能力にコミットし、当初想定していたよりも更に小さいガード重視のラインナップを画策しているようです。
D’Aaron Foxを中心に構成しようとしているチームにとって、Foxの評価の低いディフェンスを補うためにHalibertonとDavion Mitchellはとてもマッチするように思います。
しかし、勝てるスモールラインナップを組み立てるのは至難の技。
WarriorsがDraymond Greenを柱としたスモールラインナップでダイナスティを築いてから多くのチームがこのトレンドに乗ろうとしましたが、ほとんどの場合は局所的な起用法。スモールラインナップをガッツリ主軸に置いて成功(優勝)を収めたチームはWarriors以外まだありません。
ESPNのライター、Brian Windhorstはチームの層の厚さを失いたくない為に、もしくはそのスモールラインナップの挑戦が上手くいかなかった時の保険として、Bagleyを積極的にトレードに出すつもりはないようだ、と語っています。
もしそれが本当だとした場合、Kingsが狙うのはおそらく「買い叩き」でしょう。
Bagleyの評価が伸び悩んだ理由は本人の度重なる故障にも起因します。というかこれが1番の原因だったと考えて問題はなさそうです。
これまでのキャリア3年間で故障せずに済んだシーズンはなく、1年目は62試合に出たもののシーズン後半は怪我で最後まで離脱。2年目は13試合の出場に留まり、昨季の3年目も43試合にしか出れていません。
個人的にはここが1番の問題だったと思いますが、Marvin Bagleyは才能を見せることよりもコンディションを整える事に時間を費やしてしまい、成長を促すことができずに4年目まで迎えてしまっているように見えます。
根拠に彼は1年目から数字を毎年落としている、もしくは停滞しているカテゴリーが多いです。
G | MP | FG% | 3P% | FT% | REB | AST | STL | BLK | PTS | |
18-19 | 62 | 25.3 | 50.4 | 31.3 | 69.1 | 7.6 | 1.0 | 0.5 | 1.0 | 14.9 |
19-20 | 13 | 25.7 | 46.7 | 18.2 | 80.6 | 7.5 | 0.8 | 0.5 | 0.9 | 14.2 |
20-21 | 43 | 25.9 | 50.4 | 34.3 | 57.5 | 7.4 | 1.0 | 0.5 | 0.5 | 14.1 |
フリースローは元から良くありませんでしたが、長所だったはずの得点とリバウンドが毎年下がっているのは好ましくありません。
3ポイント確率は向上しているものの、大学時代に39%を記録していたとなると、カレッジバスケとの差があるとはいえ本来期待していたレベルには達していません。
これに加えて怪我をしやすい履歴書を持っているとなると、チームに契約延長を求めても、ましてやトレードしても中々納得の行くトレードが行えないのは当然と言えるかもしれません。
それでも14得点7.5リバウンドはとても硬い数字。リーグの中でも並以上の選手であることは間違いないとは思うのですが。
来年以降への保険として彼の価値を下げたまま今年をやり過ごし、来年のオフシーズンRFAにして他チームから高額契約の提示がないところをマッチしに行けば、来年以降もBagleyを安く確保できますもんね。
ただ、その買い叩きを回避するためにも、エージェントはやはり移籍が叶うよう要求していくことになるんだろうとは思います。最終的にはバイアウトも行われる可能性が十分あります。
Bagley本人にとっても、メンタル的な問題ではありますが場所が変わることでフレッシュスタートもできますからね。
巷ではBen Simmonsを絡めた噂も再燃していますが…
個人的にはおすすめしたい移籍先が2つあります。(今回はどちらもバイアウトが行われた後の単純な加入の場合を想定しています。)
Portland Trail Blazers
ひとつ目はPortland Trail Blazers。
今オフに主に獲得した選手はLarry Nance Jr.。フィニッシュ力が高くペリメーターのディフェンスもできるということで、ディフェンス力の向上に期待され加入しました。
Blazersは昨年Derrick Jones Jr.にペリメーターディフェンスの期待をしていましたが上手くいかず。現在守備の役割の多くをCovingtonが担っている状態です。
Bagleyが加入することでディフェンスの向上には直接影響しませんが、現在西の強豪チームにビッグマンが多く揃い始めていることを踏まえると、層の厚さとしてヘルプになるはずです。
Dame中心でやっていく方向性としては、Dame以外の選手をリバウンド&守備のビッグラインナップで構成した方が良いように思います。
もし彼が加入して、局所的ではあっても
Damian Lillard(CJ Mccollum)
Robert Covington
Larry Nance Jr.
Marvin Bagley
Jusef Nurkic
なんて並び、楽しそうじゃないですか?オフェンス面でもピックアンドロールし放題ですし、皆スリーポイントを打てるためスペーシングもできます。Covingtonは昨今の使われ方からC/Fのイメージが強いですが、Sixers時代はG/Fで、SGとしてプレイしていた時もあったので問題ないはず。
Lillardにディフェンス力の評価はないですが、ウイングをディフェンシブにすることで新コーチBillupsの好みにも合いそうなラインナップです。勝手な予想ですが。
更にセンターのNurkicは契約延長をせずに今シーズン後FAになることを選択しています。
Zach Collinsも手放し、手堅いゴール下の選手がいなくなる可能性があることを考えてもBagleyの獲得はヘルプになりそうです。
Miami Heat
そして2つ目はHeat。
これは報道でも既にチームが「バイアウトした場合獲得しても良い」状態だとリークされています。
オフシーズンで既にMarkieff Morris、PJ Tuckerを獲得し、Deadmonも控えセンターとしてロスターにいるので、正直必要かは分かりませんがDepth(層の厚さ)としては取って間違いないでしょう。
相性としても、ゴール下周りを機敏に動ける(はずの)Bagleyは、パスも上手くミドルジャンパーも硬いAdebayoとはハイアンドローで良いコンビネーションを作れる期待もできます。今のBagleyの不安定性ではできるというより、したい、という感じではありますが…
彼がHeatに来る根拠には先述もした彼のエージェントにあります。
彼のエージェントJeff Schwartzは、HeatのTyler HerroやVictor Oladipoのエージェントもしている人物。近年LeBronとエージェントRich Paulの影響も目立ち、エージェントとしての繋がりがチーム補強への足掛かりになることが珍しくありません。
昨シーズンも、序盤からBlake Griffinのバイアウト騒動で早くもバイアウト市場が活発化しました。
今年はもしかすると、Bagleyがその発端になるかもしれません。
個人的にMarvin Bagleyは好きな選手。それは大学時代が凄かったと言うのが大きな理由でもあるのですが、単純に考えて怪我に悩まされながらも15得点7リバウンドができる選手。しかも出場時間はたったの25分台です。
健康を保つことが出来てしっかりとプレイタイムをもらえるチームに行ければ20得点10リバウンドを狙える選手なんじゃないでしょうか?
まあ、その健康が1番の問題なんですけどね…
バイアウトからの移籍は、特に優勝を目指しているチームが最後の補強として行う事が多い獲得方法です。
現在評価がダダ下がりのBagleyですが、今シーズンが終わった時、もしかすると”ラストピース”として評価されながらシャンパンファイトをやっている姿があったりするのかもしれませんよ。
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