サマーリーグで気になって、プレシーズンが始まって更に気になったルーキーがメンフィス・グリズリーズにいます。
2巡目指名によって今年NBA入りしたケネディー・チャンドラー。
テネシー大出身の彼は大学時代から注目されていた選手でもありました。
幼少期に暮らした街、そしてテネシー州に位置するメンフィスのチームに指名されたとあって、学生時代からのファンも喜んでいるようですね。
ドラフトスカウト評にも、2022年組のPGポジションではナンバーワンの逸材と高評価を得ていました。
小柄ながら跳躍力ありシュート力ありと、見るからにポテンシャルが高いです。
ドラフトでは高評価を得ていながらも予想通り(もしくは予想以下)の2巡目指名になりました。
問題だったのは、昨今のNBAで純ポイントガードと呼ばれる役割への比重が希薄になっていること。
いわゆるコンボガードと呼ばれる選手が当たり前になりましたよね。
ジェームズ・ハーデン、ルカ・ドンチッチなど第一線で活躍している選手のプレイスタイルからも見ることができますが、PGの立ち回りがパスを配給するだけに止まらなくなった事が昨今の指名順位に大きく影響しています。
シュート力はあると思うのでチャンドラー自身がSGとしてもプレイできる可能性はあるはずですが、やはりそれを証明できる場がないドラフト前では身長が大きなマイナス材料になってしまうんでしょう。
しかし、注目を浴びたのは彼が2巡目指名選手ルーキーの歴史に残る契約をした事です。
細かく言うと、保証されている金額の490万ドルほどが2巡目選手として最高額だったそうですね。(アメリカ人として)
元々サンアントニオ・スパーズによって指名され、ドラフト当日に将来の2巡目指名権+金銭でグリズリーズにやってきたチャンドラー。
それほど大きな見返りを払った訳ではないですが、グリズリーズが彼を欲しかったことが予想できます。
魅力的なシュートセンス
チャンドラーが注目されたひとつの大きな理由は、そのシュートセンスです。
183センチの小柄な体格から繰り出す得点方法は多彩で、現代NBAに通用すると思える武器をすでに持ち合わせているように見えます。
特に彼のドライブからのフローターはスピードも相まって注目すべき彼のアピールポイントです。
現在のNBAで不可欠とされるアウトサイドからの得点も、大学時代からすでにNBAレンジで躊躇なく得点していて全く問題はなさそう。
サマーリーグでも多彩な得点力を発揮し、オフェンススキルの高い選手だということを証明したんじゃないでしょうか
中でも彼のプレイクオリティーを支えているのはミドルレンジシュートの安定感。
サマーリーグでもミドルレンジからの得点の安定感は度々披露され、ここが彼がNBAで生き抜くための生命線とも感じられます。
ピックアンドロールの評価も高いので、このミドルシュート力を発揮できればNBAには定着できる選手だと期待しています。
身体能力の高さ
ケネディー・チャンドラーのバネは彼のバスケスキルを支える魅力のひとつです。
オフシーズンにジャ・モラントとスクリメージをした動画でもそのジャンプ力を見ることができます。
あのジャンプ力で世界中のファンを魅了するジャ・モラントにも負けず劣らずな運動能力。
小柄ながら楽々とリムまでボールを運ぶ姿はガードがダンクしたとは思えないような安心感さえ感じてしまいました。
個人的に彼の好きなところは身体能力にさほど頼っていないプレイスタイルなのですが、それでも運動能力が高いというのは大きな魅力ですね。
おそらく彼が1番スピードを発揮するのがピックアンドロール時。
ある複数のスカウティングレポートでもピックアンドロールの上手さは評価され、そこがアシストへの評価にもつながっていると思いますが、
彼がスクリーンを使ってからペネトレイトに入るシフトチェンジはディフェンスにとっては厄介そうです。
少なくても大学での試合でまともに止められた試合はなかったようですね。
ディフェンス力
NBAではまだどう判断されるか分からない部分ではありますが、彼のスティールの多さも注目されるポイント。
183センチとNBAでは小柄とされる身長ながら、ウィングスパンは195センチ。
大学でプレイした1年でも平均スティールを2.2記録し、34試合出場した上でのスタッツだと考えるととても魅力的な数字です。
また、スティール力だけではなくマンツーディフェンスでも効果的なディフェンスを発揮している部分が評価されています。
ここは体格が一回り大きくなるNBAでどれだけ出来るのかは見てみないと分からない部分です。
それでもスティールを積極的に狙っていく意識が結果に繋がれば嬉しいですね。
まとめ
2巡目指名ルーキーとして大型契約を果たしたケネディー・チャンドラーは小柄ながらとても質の高い選手。
ここで詳しく言及できませんでしたが大学1年の成績でアシストはすでに4.7。コートビジョンも広くアシストを量産できる能力も持っています。
タイタイ・ワシントンやダイソン・ダニエルズなど魅力的なコンボガードと年が重なったこともあって指名順位が落ち込んだチャンドラーですが、2022年ドラフト組ポイントガードとして最大の評価を得ていた事を忘れてはいけません。
グリズリーズといえば控えガードにタイウス・ジョーンズの存在があります。
彼もとても質の高いPGと評価され、アシスト/ターンオーバー率で歴史的な数字を持っている選手ですが、彼のコントラクトイヤーは来季に迫りチームにとどめれる保証はありません。
その保険としてチャンドラーを獲得したとすれば、2023-2024シーズンの年棒が1400万ドルになるタイウスと比較すれば随分お得。
2巡目指名選手の記録的な契約額ながらも、そこを考えればお得な買い物だったのかもしれませんね。
プレシーズンでのデビュー戦ではとても良い活躍を見せてくれましたが、主力選手が出始めた2試合目以降は出場しながらも目立って活躍は出来ていません。(10/10日現在)
おそらくルーキーとして今シーズンの多くはGリーグでのプレイタイムを多く過ごす選手だと思われます。
レギュラーシーズンどれだけチャンスがあるか分かりませんが、誰かの負傷、ゲームマネジメント、何かのチャンスでプレイタイムをもらえた時に活躍できるか確かめたくなる選手です。
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