こんにちは、AJです。
ラプターズがフアンチョ・エルナンゴメス(Juancho Hernangomez)と1年契約を締結しました。
これによって、ラプターズのレギュラーシーズンロスター枠を争う選手は揃ったように見えます。(オフシーズン契約の20人に到達。あと残っているのはツーウェイ契約がひとつだが、この中から選ばれる可能性が高い)
しかもエルナンゴメスはフォワード選手
これで、渡邊雄太のラプターズ再契約の望みは無くなったと言って良い状況になりました…
違うチームにコールされることを期待しましょう。
さて、先日レブロンがプロデューサーをしたことでNBAファンからも話題になったネットフリックス映画「ハッスル」(原題「Hustle」)で主演を務めたことで一気に注目を集めたエルナンゴメスですが、
意外にも今オフのここまで、どこのチームからもオファーされることはなく、それもあってかラプターズがかなり安価で獲得することになりました。
今年のFA市場はKD、カイリー、ラス、ドノバンなど大物トレードの動向が注視されているために停滞していると言われていますが…
昨シーズンでもユタ・ジャズでプレイタイムを獲得した間の活躍を見れば、ロールプレイヤーとして彼の獲得は良い判断に思えます。
ただ、渡邊雄太じゃだめだったのか?という疑問は日本人ファンなら考えてしまうところですよね。
渡邊雄太の枠をエルナンゴメスが獲ったというわけではありませんが、チームにとって渡邊ではなく彼を選んだとも思える理由を考えてみたくはなります。
ラプターズが彼を獲得した理由を簡単に推測してみましょう。
ラプターズが昨季苦しんだスリーポイント確率の改善
何よりもエルナンゴメスを獲得した第一の理由はスリーポイントが打てるフォワードだったからだと予想できます。
ラプターズは2021-2022の昨シーズン、スリーポイント成功率に悩まされました。
チームにとってスリーポイント得点源である2人、ゲイリー・トレントJr.とフレッド・バンブリートは及第点の数字(38.3%と37.7%)を残しましたが、他の選手でスリーポイントシューターとして業界で言われているライン38%に到達している選手はタデウス・ヤング(39.5%)のみ。
しかもタデウス・ヤングは1試合にアテンプトさえ1本台の選手で、チームに与えられているのはシューターの役割ではなくどちらかというとインサイドです。
チーム全体でリーグ20位だったスリーポイント%は、ラプターズが直ぐにでも改善したいカテゴリーのひとつと言われています。
渡邊雄太も昨シーズンのスリーポイント%は34%。
何度も取り上げられている彼のスリーポイントシュート確率の低下ですが、2年前に40%だったとはいえ、当時は主力が故障欠場で出場機会を多く与えられていたタイミングでもありました。
渡邊雄太が来シーズンもラプターズにいるとなれば、役割は昨シーズンと変わらず10分少しの出場時間になると予想されるので、昨シーズンの数字で判断されてしまうのはある程度仕方のない事かもしれませんね。
一方のエルナンゴメスも昨シーズントータルで見ると34.8%と、一見大差ないように見えるアウトサイドシュートの確率ですが、彼は昨年の1年間で3つのチームを経験しています。
最初の2チーム、ボストン・セルティックスとサンアントニオ・スパーズでは、試投数が1本未満と比較対象にするには少なすぎます。
チーム内でもスリーを打つ役割はあまり与えられていなかったと考えて良いかと思います。特にボストンでは出場時間も平均5分だったので、試合に役割すら与えられていなかったですね。
彼の評価が上がったシーズン終盤は、ユタ・ジャズでスターティングメンバーの役割を得たのが大きいです。
ジャズで平均17分の出場時間を得た彼はFG50.7%、スリーポイント43.8%の好成績を残しました。
ポジションレスバスケを目指しているラプターズ、渡邊雄太でも良いんじゃないかと思う節もありますが、シーズン中に移籍して可能性を見せたエルナンゴメスの方がスリーポイントに関して魅力を感じるのは当然だったかもしれません。
Raptors Raptureでも、エルナンゴメスのスリーポイントに期待を寄せている事が推測されていますね。
経験年数と将来性
これに関してラプターズが本当に考慮したかは分かりませんが、年齢とキャリアの違いは関係していたようにも思います。
エルナンゴメスはリーグ経験がすでに6年。出場試合数も297試合と、渡邊雄太の121試合を大きく越えるNBAでの試合経験を持っています。
経験豊富さは、ロールプレイヤーなら特に順応性の信頼にもつながる部分なので、エルナンゴメスには昨季のジャズでの活躍と合わせて安心感があると思えます。
さらに、試合数を多く経験しているエルナンゴメスですが、年齢はまだ26歳と、渡邊より若干ではありますが若いんですね。
渡邊は今年で28歳になる年。28歳はリーグでは完全なベテラン枠で、現状がその選手のイコール評価になっている事がほとんどです。
成長もほとんど期待される事が加味されない年齢なので、もしかしたらまだ26歳で経験豊富なエルナンゴメスの方に魅力を感じたのかも、と思ってしまいます。
単純に実績で見ても、エルナンゴメスはスペイン代表戦で数多く活躍した試合を経験している選手ですから、渡邊雄太よりも信頼感があるのは否めなかったかも。
DJウィルソンの存在
エルナンゴメスが1年契約をしたからといって、開幕ロスターに残れるかはまだ完全には分かりません。(ほぼ確定ではあります)
ラプターズがポテンシャルを見極めようとしているデイビッド・ジョンソンや先日ツーウェイ契約を果たしたジェフ・ダーティン(Jeff Dowtin)、今年の2022年ドラフトで獲得したクリスチャン・コロコなどが、本ロスター入りの可能性を持っているからです。
この選手たちは1年ほどはGリーグで鍛えられると予想されていますが、
その中で本格的にエルナンゴメスとスポットを取り合いすると言われているのがDJウィルソン。(もちろん両方残る可能性もあります)
DJウィルソンは昨シーズン途中ラプターズに加入したり、サマーリーグでもロスターに招致するなどここ最近ニック・ナースが彼を気にしていることが伺えます。
DJウィルソンはエルナンゴメスや渡邊のようにスリーポイントを持ち味とする選手ではありませんが、機敏な6’10(208cm)で、動けるビッグマンを欲しているラプターズにとってウィルソンはFA市場でお手頃な選手です。
バックス時代から評価されていますが、彼の持ち味はその攻守両面におけるユーティリティ性。
ゴールにアタックするフィニッシュ力とリムプロテクト力は、ビッグマンというには小さいながらもセンターフォワードの役割を十分に果たしてくれそうなロールプレイヤーですね。
シューターとは言えないまでもアウトサイドシュートも打てるところや、その器用さはサディアス・ヤングやマイケル・ビーズリーにも似たものを感じます。
ラプターズにとってセンターポジションの埋め合わせをしようとするならウィルソンとの契約になるでしょう。
エルナンゴメスもゴール周りのディフェンスに一定の評価はあったと思いますが、機動力、サイズともにウィルソンの方が良さそうです。(兄弟のウィリー・エルナンゴメスはセンターもやっていたように思いますが)
逆にスリーポイント力の向上に重きを置くならエルナンゴメスになるでしょう。
ここで渡邊雄太が選ばれなかった理由が見え隠れする気がします。
DJウィルソンのスリーポイント確率は2020-2021シーズンで34.5%。
昨シーズンの2021-2022シーズンでは4試合出場、1試合平均で0.5本しか打っていないので確率は0%。これはあまり参考にならないので2シーズン前の数字を持ち出しますが、2年前の平均出場時間は14分ほど。渡邊、エルナンゴメスとの比較としてはフェアでしょう。
34%程度のシュート確率なら渡邊雄太とさほど変わらない判断をされたとしてもおかしくないと思います。
DJウィルソンはセンターにコンバートもできるのでその点に関しては渡邊雄太との需要の違いがありましたね。
スリーを向上させるならエルナンゴメス、動けるセンターポジション補強をするならDJウィルソンとなり、どっちつかずになった渡邊雄太が選ばれなくなった要因にもなったのではないかな…と邪推してしまうウィルソンの存在になりました。
それでも渡邊の使い勝手力はとても良いと思うんですけどね。
まとめ
以上、フアンチョ・エルナンゴメスを獲得したことで推測できる渡邊雄太を選ばなかった理由を考えてみました。
これはAJによる推測で、根拠があるわけではありません。
現地の記事ではもっと早い段階から渡邊雄太と再契約はないと予想していたところも多く、他の理由としても再契約の可能性がなかった理由はあると思いますが、
今回はエルナンゴメスと契約した結果論から、なぜ渡邊にならなかったのかを考えてみた記事になります。
これで開幕ロスター入りが難しくなってきた渡邊雄太ですが、どうなるんでしょうか。
ラプターズ905などでもう一度アピールしてからシーズン途中にコールアップされる、というのが1番オーソドックスな方法になると思いますが
個人的には今年プレシーズンを日本で開催、そしてオット・ポーターJr.を失った穴埋めをしているように思えないゴールデンステイト・ウォリアーズが、なんか渡邊を拾ってくれたりするんじゃ…?と期待してしまっているAJです。
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