AJです。
今、NBAは勝ちに行くチーム(Win-Now)と再建(Rebuild)を目指すチームの二極化がかつてないほど進んでいるように見えます。
デトロイト・ピストンズは再建をし始めた有望若手チームのひとつですね。
その有望と言われる理由になっている根拠のひとつはケイド・カニングハムです。
ドラフト全体1位で指名されたルーキーシーズンの昨季は、開幕前に足首の捻挫で負傷しデビューが遅れたものの新人王候補に食い込むほどの存在感を見せてくれました。
2年目の躍進を期待されている選手の1人ですね。
2021年ドラフト組は、NBA入りしてからまだ1年しか経っていないにも関わらずチームの主軸に絡んでいる選手が多くいますが、ルーキーシーズンからチームリーダーを期待されているのはカニングハムしかいなかったと思います。
ピストンズ的にも昨季は彼自身がNBAでどれだけ通用するかを直接確認するシーズンでした。
結果、多くのメディアから彼のプレイクオリティーは評価されているようです。
例えば、カニングハムはビッグガードとしてあのペニー・ハーダウェイやグラント・ヒルとまで比較されている選手。
現役で言えばルカ・ドンチッチも比較対象にされていますが、ルカがリーグ入りした時と同様身体能力がNBAでついていけないんじゃないかという部分を懸念材料にするメディアもいました。
個人的に見る分には彼の身体能力が特別低いとは思えませんが、そう判断する有識者もいるということ。NBAはなんとも恐ろしい世界ですね。
評価自体も”低い”とは表現してませんが”not-super athletic”と言及していて、アスレチックでない限りネガティブ要素に成り得るというリーグレベルの高さが垣間見えます。
多くのスカウティングレポートではアスレティシズムの10段階評価で大抵7、8の数字を貰っているので、やはり身体能力がないとは思えませんが
体格やジャンプ力(バーティカルジャンプ41インチ)に問題ないと思うので、動くスピードやアジリティーの事を指していると推測します。
「1年目のカニングハムに対して私が抱いていた最大の懸念は、運動能力が特別に高くない彼がNBAレベルでどれだけ近距離のシュートを決めることができるかだった。」
”My biggest question going into Cunningham’s rookie season wondered if the not-super-athletic guard would be able to finish around the rim at an acceptable level in the NBA. ”
-James L Edwards (via The Athletic)
1シーズンを戦った後の現在、その不安は解消されているようです。
2021-2022シーズンにカニングハムはゴール周り3フィート(1メートル位)でのシュートを60%の確率で決めていて、これはルーキーガードとして悪くない数字。
NBAでフィジカルに負けず得点できたと分かった事は、彼中心のチームを作りたいピストンズにとってプレイクオリティーを確認できる良い保険になりました。
さらに期待が膨らむ2022-2023シーズン、チームはカニングハムにどんな成長を求めているでしょうか?
2年目へ期待するもの①スリーポイントシュートの改善
チームはカニングハムにオールラウンダーなPGの姿を期待しているようです。
攻守どちらにもハイレベルで貢献できる選手ですね。
存在感のイメージで言うとカワイ・レナードのような感じでしょうか。
特にどこからでも得点できるオフェンス力は、NBAのチームでファーストオプションの男になる為には必須でしょう。
カニングハムはゴール下周りの得点同様、ミドルレンジのジャンパーで良い結果を残しています。
シュートレンジとして唯一不安が残っているのはアウトサイドシュートのようです。
2021-2022シーズンの3P%は31%。決して得意とは言えない数字に落ち込みました。
それでもチームは改善できると自信を持っていると言います。
その理由は今年2022年ドラフトで獲得したジェイデン・アイビーの存在が大きいみたいです。
サマーリーグでも確認できているようにアイビーは積極的なプレイが魅力です。
プレイをセットアップする役割も担うと考えられているので、カニングハムがオフボールになる機会が増えると見られています。
キャッチアンドシュートでの3P成功率でカニングハムは32.3%、プルアップでスリーを打っている時の確率(30.2%)の差をどのように解釈するかは微妙なところですが、
大学での成績で見ればスリーの確率は40.0%。
カニングハムのアウトサイドシュートに期待して良い数字を残しています。
アイビーがカニングハムのスリーポイント確率改善に一役買う組み合わせになるとチームは踏んでいるみたいですね。
2年目に期待するもの②フィジカルでアドバンテージを取る
カニングハムはこのオフシーズンにNBAで当たり負けしない為の身体強化をしているとレポートされていて、
筋肉増加によって約4.5~9キログラムの増量に成功しているそうです。
彼がこうしてバルクアップに励むのは、昨シーズンにホイッスルの恩恵を受けられなかった(少なくてもチームはそう感じている)事が背景にあると予想されています。
ケイド・カニングハムはフリースローが昨季84.5%とこのカテゴリーに関してほとんど完成された選手。
フィジカルにプレイしに行くことができれば自然とボーナススローの機会は増えます。
フリースローが得意なカニングハムにとって、笛を貰いに行けることはオフェンスでのアドバンテージを連れて来ることができます。
これは試合を展開する上で多くのスター選手が狙っていることでもありますね。
昨シーズンのフリースロー試投本数はたったの1試合2.6本でした。
大学時代の5.8と比較すれば、1年目の彼がこのカテゴリーでNBAに対応できていなかった事がわかります。
2022-2023シーズン、彼がどのくらいフリースローを打っているかで成長度合いが分かるかもしれません。
2年目に期待するもの③ターンオーバーの減少
チームが期待することのひとつに彼のターンオーバー減少があります。
ルーキーシーズンは平均3.7本のターンオーバーを記録してしまっています。
これは昨季リーグ7番目に悪い数字でした。
前述したように、フィジカルでの適応力を上げればこの問題は改善されるとも予想されていますが、
ポストアッププレイを増やすことがターンオーバー減少の役に立つとDetroit Sports Nationでは語られています。
カニングハムのミドルレンジゲームは高いレベルにあり、3~16フィート(約1~5メートル)のシュート確率では43%を記録しました。
ミッドレンジゲームを得意とする選手で知られているブルズのデマー・デローザンが昨季このエリアで残した記録が45%。
この比較だけでカニングハムのミドルレンジゲームのクオリティーがどれほど高いか確認できると思います。
しかしチームはまだこのカニングハムの得意分野を活かしきれていない印象です。
このポストゲーム(いわゆるクラシックなポストではありませんが)を活用するだけでターンオーバーの多さは解消すると予想されています。
そうではなくてもターンオーバー3.7は見逃せない数字。
アシスト数5.6は悪い数字じゃないですが、3.7もターンオーバーを記録しているとなると、そのカバーになるほどではありません。
少なくともアシスト数を上げる成果は見せてくれないとチームナンバー1の選手として中心になるには厳しいかもしれませんね。
まとめ
2年目への期待も重なり細かい課題は多いようですが、ドラフト時にも”フルパッケージに近い選手”と言われていたほどオールラウンド力のある選手には間違いありません。
ESPNのNBAスカウト、マイク・シュミッツ(Mike Schmitz)も「今まで調査した中でも完璧な選手のうちの1人」とドラフト時に称賛していました。
練習熱心でもあることから、よっぽど不運に見舞われなけれな華やかなNBAキャリアを歩んでくれるだろうと期待しています。
2年目の今季には平均20得点の大台にも乗る予想がされ、ピストンズのオールスター選手になるポテンシャルは十分です。
チームには他にもサディック・ベイ、アイザイア・スチュアートなど期待したい若手が多くいる楽しみなチームのひとつですが、
まずはカニングハムがオールスターレベルの選手になれるかというのがチームが成功していく最初の関門のように思います。
すでに凄い選手なことは証明されているとは思いますが、ここからまだまだレベルが上がっていく彼を見ていきたいですね。
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