昨年Eastern Conference4位というシード獲得上位に食い込み、飛躍の年になった昨年のNew York Knicks。オールスター選手になったJulius Rundleや、期待外れのシーズンを送った一昨年から目を見張るシュート力の安定感を見せたRJ Barrettに加えチームとしてもリーグトップのディフェンス力を記録するなど、プレイオフでは1回戦で敗れたものの長年勝つことに飢えていたKnicksの2020-2021年シーズンは盛り上がるものになりました。
その中で地元ファンにとってお気に入りの選手、いわゆるFan FavoriteとなったのがルーキーだったImmanuel Quickley(イマニュエル・クイックリー)。
2020年ドラフト25位指名でチーム入りした彼が見せたシーズン後半の活躍は、Derrick Rose獲得と共にファンを熱狂させ、一気にNBA全体からも注目される1人となりました。
Knicksの成長株で1番進歩を見せなくてはいけないのは間違いなくRJ Barrett(RJ・バレット)。
高校生時代全米ランクで1位だったり、ユースW杯で優勝、MVP獲得など華々しいキャリアを送っている彼はスーパースターになれる才能を持っている選手。
リーグ1年目はNBAのバスケにアジャストすることに苦労しましたが、2年目はステップアップしその能力と可能性を存分に見せてくれました。
それでもドラフト全体3位指名でチームが獲得していることもあり、彼に要求される目標地点はもっと高いところにあります。
これからの将来を踏まえても、Knicksにとって成長してもらいたい最重要選手はRJですが、チームは2年目22歳のガードQuickleyにも変わらない期待をしています。
Immanuel Quickleyが活躍した昨年、彼が貢献した主な部分はバックアッププレイヤー・リザーブとしての得点力でした。
平均19.4分の出場で11.4得点、3ポイント確率38.9%はルーキーとして考えなくても立派な数字。
しかしチームもQuickley本人もそこに満足してはいません。
「自分の身体能力は良い方だと思っているけど、とても良いとは思っていない。フィジカルも強いとは思っているけど、リーグにいるほとんどの選手のように強いとは思っていない。だからトレーニングに励まないといけない。自分はどこのチームにいたとしても1番のハードワーカーにならないといけないと思ってる」
I’m a good athlete, not a great athlete. I’m strong, but not as strong as most players.
So I have to work hard. I have to be the hardest worker on whatever team I’m on.
-Immanuel Quickley
そう語るのには理由があります。
昨シーズン得点力を武器に活躍したものの、彼が1年目NBAでアジャストするのに1番苦労した部分がゴールした付近での得点でした。
ペイントエリアでの得点率がたったの6%と低く、彼のFG39.5%という低さにも反映されていることがわかります。
それを解決するためフローターを多用していたQuickleyですが、フローターが得意な選手という認識はあるものの、リムに直接得点を置きに行けること(イージーレイアップやダンクなど)は安定力のある得点を確保するには必要なスキルです。
それをわかっているQuickleyは自身のフィジカルを強化してペイントエリアでの接触に強くなろうとしています。
さらに、Quickleyはこのオフシーズン得点力のある選手の動画を見て研究を重ねたと言います。
その中にはSteph Curryなどリーグを代表するスコアラーが多くいる中、その中でも1番お手本にしようとしたのがTrail BlazersのCJ Mccollumだったそうです。
CJの名前を聞いてピンと来た方もいると思いますが、CJのプレイスタイルはアウトサイドを中心にジャンプシュート、オフボールジャンパー、そしてフローターなど得点にいくパターンとしてQuickleyと類似点が多い選手です。
また、特別運動能力に頼っていないプレイスタイルというのも彼の目に留まったことだと思います。
CJ MccollumはMike Conleyが昨シーズンオールスターに選出された事で“オールスターになっていないベストプレイヤー”の筆頭と言われています。その称号が良い事なのかは別として、脇を固めるサイドキックとしての役割をこなすCJにも、Quickleyは目指すところとしての類似性を感じたのかもしれません。
一方で、コーチのTom Thiboddeau(トム・シボドー)が求めるのは単純な得点力の成長だけではありません。
ThiboddeauがQuickleyを気に入っている事の一つは控えからDerrick Roseとプレイした融和性でした。そして今後は彼自身によりゲームコントロールや試合の組み立てを含めたゲームメイクもして行って欲しいと言います。
ポジションレスゲームになっている昨今のNBAで、どのガードも関係なくピックアンドロールをコールし、コーナーでシュートを待ち、ゲームに合わせて柔軟に役割を変えていく。その中で自分の弱点を得意分野で克服していくことをThiboddeauはチームのガードたちに期待しています。
Kemba WalkerもDerrick Roseも若くない選手。RJ Barrettも1年目からボールコントロールする時間を与えられて来ました。このまま世代交代することになればRJ BarrettとQuickleyでゲームを組み立てていく、そういった将来像をThiboddeauは描いているのかもしれません。
得点力に磨きがかかっているであろう2年目の今季、Immanuel Quicklyの注目ポイントは得点力だけではありません。
どれだけ他のガード陣と融和しながらゲームメイクできるか。そこにも注目していけばKnicksの将来を予見することもできるかもしれませんね。
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