こんにちは、AJです。
今年ジャパンゲームで来日することが決まっているワシントン・ウィザーズ。
八村塁の凱旋や、昨季優勝したゴールデンステイト・ウォリアーズが対戦相手として来日するとあって日本のNBAファンからは特に注目が高くなっているイベントですが、
ウィザーズはイマイチ成功する道が見えてこない事から、ヤキモキしてしまう数年を経験しているチームです。
それでもポジティブな素材は多く、
カイル・クズマの期待値の高さや、八村塁が年々示している安定したプレイのクオリティー向上、ポルジンギスの獲得など
すでにプレイオフチームになれる要素は多く持っているように見えます。
その中でAJが気になる選手が1人、それが来季3年目になーるデニ・アブディヤです。
アブディヤはイスラエル出身のガードフォワードで、ドラフト当時はルカ・ドンチッチと比較されていました。
2年前のルーキーシーズンは故障に悩まされたこともまり54試合の出場にとどまりましたが、昨季の2年目はシーズン全82試合に出場。
昨シーズン82試合に全て出場した数少ない選手のひとりとなりました。
ミケル・ブリッジズやケヴォン・ルーニーなど、達成した面々を見るだけでも全試合出場はチームにとって重要な選手しか成し遂げられない記録ということが分かりますね。
前述した2人ほど重要な役割はまだ担っていないデニですが、ウィザーズは彼の将来に期待し成長を待っているように感じます。
しかし同時に、2年間NBAを経験した中で不安な部分もある程度見えた選手でもありました。
ここからルーキー契約延長やチームオプションの施行の決定が視野に入る年数になるので、デニ・アブディヤにとって2022-2023シーズンは評価基準の節目の年になると予想される重要なシーズンです。
今回はデニ・アブディヤが2022-2023シーズンに直面する課題3つをまとめてみました。
課題①昨季アピールしたディフェンス力の定着
2021-2022年シーズンのアブディヤは主に控え選手として起用されていました。
ルーキーシーズンだった2020-2021年は54試合出場のうち32試合がスタメン出場。
2021-2022年のスタメン出場8試合と比べるだけでも役割の変化は明確です。
ルーキーシーズン終盤に足首の故障で離脱しなければスタメン出場の数はもっと多かったと考えれば余計に目立つ変化です。
スタメン出場の方が良いと考える人も多いかと思いますが、試合を見れば単純にそうとも言えません。
ウェストブルックが在籍していた2年前の方がスタメンで出場していたという不思議な感覚にもなりますが、昨季の方が彼の役割が明確化していた分スタメン出場していた頃より成長しやすい環境だったように思います。
控え出場に回ったにも関わらず、出場時間は1年目の23.3分から24.2分と増えている事から見てもむしろ役割は大きくなったと考えて良さそう。
では主にチームが彼に何の役割を求めたのでしょうか?
それは“ペリメーターディフェンス”での貢献です。
元々攻守両面ができる選手としての触れ込みだったデニですが、残念ながらルーキーシーズンにオフェンス面でアピールすることは出来ませんでした。
これは大袈裟に言えばHCだったスコット・ブルックスの責任とも言えます。
ブラッドリー・ビール、ラッセル・ウェストブルックがメインのボールハンドラーとしてプレイする中、同じスタメン出場でデニがドラフト前から評価されていたゲームメイク力を発揮することがほとんど不可能だったのは見なくても想像できますよね。
スタメンながら23分の出場時間に止まったのも、育てたかったのかロールプレイヤーにしたかったのかよく分からない感じがありましたね。
コートでの役割が明確でなかった事も気になったところです。
これにはトロイ・ブラウンJr.の存在もあり役割分配が渋滞していたのかもしれません。
昨シーズンで控え出場からディフェンスを主な役割に示されたのは、少なくとも彼の守備面を有効活用することには役立ったと言えるでしょう。
6-9(206センチ)の体格をアドバンテージに、ラメロ・ボールやジェームズ・ハーデンなどのガードからテイタムやヤニス・アデトクンポなどビッグフォワードにまで幅広くマンアップできるのはリーグ全体でも重宝されそうですね。
特に無理せず相手のFG%を落としていく地道なスタイルはファウルなどのリスクも少なくこのまま成長すれば評価はかなり高くなるように思います。
ウィザーズファンの中では認知されている彼のディフェンス力ですが、リーグ全体ではまだ目立っていないように思うのはおそらくKCPの存在があったから。
KCPはスターティングとしてスリー&D(とトランジションオフェンス)を売りにしているベテランガードフォワードですから、そこを越えて目立つのはハードルが高かったでしょう。
しかし今オフ彼がデンバーへトレードされた今、ペリメーターのディフェンス力として期待される選手にデニ・アブディヤが台頭するチャンスは大きくあるはず。
ドラフト当時の攻守両面としての大きな期待は横にひとまず置くことになりますが、来季守備面で目立つことが出来ればNBAに定着する足掛かりになります。
ここ数年ずっとディフェンス力の低さに悩まされているウィザーズでこの活躍が出来れば、彼がリーグ全体から評価される可能性は高いです。
課題②悩ましい得点力問題
ディフェンス面がポジティブな要素である一方、オフェンス力の伸び悩みはアブディヤにとって来季に改善していなければいけない大きな課題です。
特にジャンプシュートは彼の評価を頭打ちさせている一因。
FG%は1年目の41.7%から43.2%と改善は見られるものの評価を高くできる数字ではなく、スリーポイント31.7%という低さは彼にとって最大の懸念点とされています。
ウィザーズにとって重要な選手と考えられながらもKCPなど役割が被る選手達からプレイミニッツを奪えなかったのは、このシュート力の課題があったことが理由でしょう。
デンバーからKCPとのトレードで獲得されたウィル・バートンはkcpよりオフェンス力があると言って良い選手です。
それだけではなく意外とディフェンス力・アシスト力もあります。
あれだけヨーキッチ起点のデンバーで3.9アシストを記録できるのはもっと評価されるべき部分ですね。
ここのシュート力、得点力の改善がない事には、デニは控え選手止まりの選手になってしまうかもしれません。
2021-2022 | MIN | PTS | FG% | 3P% |
Will Barton | 32.1 | 14.7 | 43.8% | 36.5% |
Deni Avdija | 24.2 | 8.4 | 43.2% | 31.7% |
デニ・アブディヤもこの課題点は認識していて、今オフに改善に取り組んでいる事が知られています。
チームメイトのブラッドリー・ビールやジョエル・エンビード、ジェイソン・テイタムなど
オフシーズンのワークアウトで数々のNBA選手をトレーニングしているドリュー・ハンレンに、アブディヤはシュート力改善ためパーソナルトレーニングを受けているとのことです。
パーソナルスキルズコーチながらも、アディダスからプロダクト提供を受けている、と聞くだけでコーチドリューの凄さが分かります笑
残念ながらワークアウト動画は見つけられませんでしたが、オーバーン大との国際親善試合を見ても、オフシーズンのワークアウトは上手くいっているように見えますね。
シュート力の改善が見れれば、リーグの彼を見る目は大きくポジティブに変わるでしょう。
一方でここを改善できなかった場合、NBAに残れたとしてもローテーションプレイヤーどまりになってしまうかもしれません。
彼のキャリアにとってこのジャンプシュート力の改善は最も重要なポイントです。
課題③ボールハンドリング力
過去2年間ウィザーズが彼にPGの役割をしっかり与えられなかったのは、彼のターンオーバーの多さとハンドリング力の懸念にあったと言われています。
特に左ドリブルからのプレイにミスが多いとのことで、NBAに残るには改善が不可欠とされています。
アブディヤはゴールから0-3フィートの近距離でのシュート確率もリーグ167位で、彼の身長からすると褒められる順位ではありません。
彼がボールをコントロールした(プレイをセットした)際のターンオーバー率も12%、パーセンタイルで33thと低い数字を記録してしまっています。
※パーセンタイルとは1から100まである偏差値のようなもの(語弊があったらすみません)
前述したオフェンス力問題にも関わってくるこのボールハンドリング力の改善は、デニ・アブディヤが評価をロールプレイヤーから押し上げる、彼自身が現在持つデメリットが大きく改善されるポイントになりそうです。
ドリブル力の改善はドラフト前から必要とされていただけに、3年目になる来季は一定のアピールが欲しいところですね。
ルカ・ドンチッチとも比較されていた選手ですが、オフェンス力のポテンシャルがルカほどない彼にとってターンオーバーを抑えゲームコントロール力を上げないことには比較対象に再度取り上げられることは難しいでしょう。
まとめ
デニ・アブディヤは将来有望な選手です。
昨シーズンでの貢献度から、ウィザーズが彼へのプレイミニッツを確保してくれればMIP候補ともファンから期待されています。
しかし一方で課題も多い選手。
ビッグガードになれる良い要素も多いですが、まずは得点力を上げなければその得意分野をアピールすることも難しいかもしれません。
それだけに、評価されているディフェンス力を保ったまま得点により貢献できるかが来シーズンの見どころですね。
悪いところに目をつぶりスターティングPGにでも抜擢されれば、彼の良いところも多く見れるのではないかとも思えますが…
ルカ・ドンチッチのNBA入りのあとに入ってしまったのがアブディヤの最大の不運だったかもしれません。
特徴が似ている事から比較されがちなことが多かっただけに得点力の低さがひときわ目立ってしまったようにも思います。
本来アブディヤはルカのようなオールスタータイプというよりチームにオールラウンドに貢献するコントリビューターのスタイルです。
もしかしたらドレイモンド・グリーンやマーカス・スマートのような選手が比較対象としては近いタイプなのかもしれませんね。
どちらにせよ、3年目になる来季は彼の成長を見届けられる楽しみなシーズンになりそうです。
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