こんにちは、AJです。
プレイオフも来月に迫り、プレイオフに向けて調整するチーム、順位を意識するチーム、残されたプレイオフの席を最後まで取り合うチーム、来年を見据えるチーム…
チームによって状況は様々ですが、現在西地区3位のゴールデンステイトウォリアーズは難しい場面を迎えようとしています。
3位といえども1位のフェニックスサンズとのゲーム差は9.5。
残り試合数を考えてももう1位を奪い返すチャンスはゼロでしょう。
好調だったチームに黒星が付き始めてしまった要因の一つは中心選手だったドレイモンド・グリーンの離脱がありましたが、サンズもチームリーダーであるクリス・ポールがレギュラーシーズン復帰絶望の中で調子を保ったので、チームとしての完成度の差が出てしまったように見えます。
シーズン前半は首位の取り合いをしていた2チームだっただけに、ウォリアーズ側からすると悔しいところがありますね。
しかし負けが混んでしまった中、2019年のファイナル以降ケガでプレイしていなかったクレイ・トンプソンが復帰し、先日ドレイモンド・グリーンも先日コートに戻ることができました。
クレイ、ドレイモンド、ステフの3人が最後に揃ってコートに立ったのは2019年のファイナル。
それまでの日数はなんと1004日。
2年半以上の月日が経っていました。
グリーン復帰前から彼なしでの勝ち方を覚え始めたのか、復帰前も3連勝していたウォリアーズ。
クレイも38得点など記録し、シュートタッチが健在だということもコートで証明していて、チームにとってグリーン復帰は最高のタイミングでした。
グリーン復帰の試合でもステフは47得点する大活躍。
彼自身の誕生日ということもあったかもしれませんが、グリーンとの相性の良さが余計分かってグリーンの復帰戦になりました。
しかしここで起こってしまったステフィン・カリーの離脱。
骨などに異常はなかったものの、残りのレギュラーシーズンを全休することが予想されています。
最高だと思っていたタイミングが一転して最悪のタイミングになってしまいましたね。
しかし、選手の離脱は違う選手のチャンスでもあります。
そこもNBAの楽しいところ。
ステフの代わりにスタメンに繰り上がるのはおそらくジョーダン・プール(Jordan Poole)ですが、彼はクレイ復帰前からプレイミニッツはほぼ同じであり、控えからでもスタメンでも出場時間と役割はほとんど変わらないと予想されます。
ウォリアーズはスターティングにわざと若手や時間を貰えていなかった選手を組み込むスティーブ・カーの嗜好も見えるので、少し前にスタメンになっていたモーゼス・ムーディーやゲイリー・ペイトンの可能性もありますが、
最近の好調から今回のステフ離脱によりプレタイムを増やせそうな選手がルーキーのジョナサン・クミンガ(Jonathan Kuminga)です。
昨年のドラフトで全体6位指名でウォリアーズに指名されたクミンガは当初トップドラフトプロスペクトでしたが、他のルーキーたちと比べ自分の持ち味をまだはっきりと持っておらず、リーグでの活躍には複数年必要だと思われてました。
チームもシーズン当初は彼を下部リーグにアサインして経験を促しています。
しかしドレイモンド・グリーンの故障によりプレイミニッツを得る機会が増えたクミンガは自分がNBAにいるレベルだという事を証明するクオリティを見せ始めていました。
「才能はあるけど今シーズン活躍する機会は少ないだろう」と考えていた有識者は多く、シーズン後半目立ったプレイをすることが増えている彼に驚きの声をあげているメディアが増えています。
「キープレイヤーが出れない間、ウォリアーズは予想していなかった事を経験している。
ひとつはクミンガの予想外の活躍だ。彼は多分プレイオフでも出場機会を得れるだろう。
(中略)
彼はまだ19歳で可能性を秘めている…プロのスピード、パワー、ジャンプ力の運動能力を備えたね。
彼は一瞬でリムまで跳ぶ。」
“In the absences of key players, the Warriors have learned unexpected things. One is that Kuminga is way ahead of schedule, and maybe ready (to these eyes, is ready) for playoff minutes … Kuminga is providing that ingredient, and then some, right now. He is 19 and somehow built like a tank — with elite speed, power, and leaping ability. Blink, and he’s on top of the rim”
-Zach Lowe, NBC Sports
元々運動能力の高さはドラフト前から評価されていた選手。
まだまだ伸びしろが計り知れない中で、すでにリムアタックへの貢献が見込めるとなると、シューターが揃うウォリアーズの中で有意義な選手になります。
もちろんシューターばかりでは勝てないのがバスケットボール。シューターに気を取られたディフェンダーに対してリムに飛び込み、イージーバケットを取るプレイヤーはバランスを生み出す為に必要になってきます。
クミンガはウォリアーズにおいて、まさにその需要を満たせる選手として注目されています。
例えば、ESPNでケンドリック・パーキンスは彼の事をこう例えました。
「クミンガはダンクの脅威だ。
彼はウォリアーズにとってジャベール・マギーになれると思っている。
けれど、俺は彼がこんなにもアスレチックで技術がある選手だとは知らなかった。彼はドライブし、ペイントエリアに入り、左手でも右手でもシュートに行けて、接触がある中でダンクを決められる。」
“Kuminga is that lob threat.
Kuminga is the guy that he could be Javale McGee for them.
But I didn’t know he was athletic. I didn’t know he was that skilled. He’s very skilled for us creating to be able to drive, and get to the paint, finishing right hand and left hand, dunking the ball, you know finishing through contact.”
-Kendrick Perkins, NBA Today on ESPN
クミンガのゴール下でのフィニッシュ力をジャベール・マギーと比較したパーキンス。
これは面白くもなかなか的を得ている表現でした。
マギーはセンターで、クミンガはフォワードなので、なかなか比較するのは変な気がする人もいるかもしれませんが、
ウォリアーズで優勝に貢献していたマギーの役割を考えると、シューターを揃えた中でのバランサーとしてのリムフィニッシャー。確かにクミンガが今スポットにハマっている役割と同じと言えますよね。
更に言えば、リバウンド力やリムプロテクションは劣るものの、ガードを守れる機動力、コートを駆け上がれる瞬発力を考えれば、スモールボールを基準にしたバスケを展開するウォリアーズにとってマギーよりもフィットしている人材と言えるかもしれません。
故障からのコンディショニングで予定より時間を食ってはいますが、今季中に復帰する見込みのあるジェームス・ワイズマンがいることも考えればフォワードの選手がいる方が嬉しいことです。
もしかするとそのワイズマンさえ要らないと感じさせる可能性も考えられているほどです。
先程紹介したコメントに続けて、ケンドリック・パーキンスは「みんなワイズマンの復帰を待っているとは思うけれど、ワイズマンのプレイタイムを減らしててでもクミンガの出場時間を増やすべきだ」とも言っているほどです。
少し見るだけでも彼のリムアタック力とクリーンアップ力はピカイチ。
シーズン当初は「ウォリアーズはクミンガの指名で失敗した」とまで言うメディアがあったほどですが、チームとしても、クミンガ本人としても、それが間違いだったと証明できるところまで来ています。
そこで起こったステフの離脱。
チームにとっては勝負どころのハラハラなシチュエーションではありますが、それでもクレイ、グリーン、オット・ポータージュニア(Otto Porter Jr.)、アンドレ・イグダーラ(Andre Iguodala)など土台を作ってくれるベテランは揃っています。
エースがいない間、そしてプレイオフにかけてウォリアーズが欲しいのは「プラスアルファ」の力。
これを現地ではXファクター(X Factor)などとも呼びますが、勝ち上がるには絶対必要になってくる要因です。
ジョナサン・クミンガはすでに選手としてNBAレベルだと証明しているとは個人的には思っています。
しかし、「NBAレベルだと証明した」から「チームに不可欠な選手だった」となる瞬間を、今目撃しているところなのかもしれません。
そう思うと、プレイオフに向けてのウォリアーズがより一層楽しく見れると期待しています。
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