こんにちは、AJです。
※この記事はファイナルのネタバレを含みます
なんとNBAファイナルゲーム1、ボストンセルティックスがものにしました。
第1試合を勝つと70%以上の確率で優勝するという今までの統計があるので、今後自信にもなる大きな勝利を得ましたね。
セルティックスの躍進の一因として注目を集めるサポートキャストの面々。
アルやスマートについて以前書いた記事はこちら↓
以前も話しているアル・ホーフォードやグラント・ウィリアムスなど優秀な選手達がテイタムやブラウンの脇を固めている中、ひときわ注目を浴びている選手の1人がデリック・ホワイト(Derrick White)です。
デリック・ホワイトは今シーズン中盤にジョッシュ・リチャードソン(Josh Richardson)とのトレードで獲得されました。
同じPG同士のトレードながら、よりゲームコントロール能力がある控えガードを欲した上でのデリック・ホワイト獲得だったと言われています。(あと多分ディフェンス力なんだけど、Jリッチも良かったように思うんだけどなあ)
ジョッシュ・リチャードソンも良いガードプレイヤーですが、ホワイトよりもポイントゲッター、ペネトレイトを多くするタイプのクリエイターでしたから、
同じくシーズン中に放出したシュローダーと共に、サポートの位置としてのガードとして得点第一の選手を多く揃えすぎていた懸念があったのかもしれません。
それでもリチャードソンも結構しっかりPGやってるようにも見えていたここ2年だっただけに、スパーズでの活躍を見てても少しもったいなくも感じてしまいますが…どっちも欲しいは無理ですもんね。
その2人を放出したことがシーズン後半の好調に影響した可能性は大いにありそうです。もちろん、故障しがちだった主力の復帰が1番の影響だったとは思いますが、そのおかげでバランスを整えるチャンスを作れたと結果的には言えそうな感じ。
リーグ内でもPGとして評価の高いデリック・ホワイトですが、実は選手としてのキャリアはNBAの中でも珍しいレベルの苦労人です。
高校時代にはディビジョン1の大学から注目されることは全くなく、高校時代のコーチも「プロになれるとは思わなかった」と語るほど目立っていなかったそうです。
「初めて彼と会った時、とても普通の選手だと思ったよ。
D1に行くレベルの高校生ではなかった。
サイズも、身体能力もD1のレベルではなかった。」
“When I first met Derrick, I just saw very average player.
He was not a D1 player out of High school.
He didn’t have Division 1 size, he didn’t have Division 1 athleticism.”
-Spurs Stories
案の定D1カレッジから誘いを受けることはなく、なんとオファーが来たのはカリナリー(料理)学部で有名な大学からだったそうです。
もちろんそこでバスケのキャリアを作ることは想像できず、他にもオファーしてくれるところを探したものの、D1どころかD2でもプレイするのは厳しい、と判断されたデリック。
一応他にも1校からオファーがあったものの、同様に、どころか場所も考えると余計、バスケで行くメリットは全くないところだったとか。
それも仕方ないかもしれません。彼は少なくても高校2年生の時点でとても細く、体格もアメリカ人の平均だったのです。
目立って上手い選手でもなかったというだけに、どこからもオファーがないのは当然です。
むしろ、無名校とはいえ2校からオファーもらってたというのは十分凄いように思います。
当時これをきっかけにバスケのキャリアは諦めようと一時考えたそうですが、運が味方してか、彼がオファーをもらった料理科が有名な大学でコーチをしていたジェフ・カルバーがD2のUCCSにコーチとして引き抜かれます。
デリックを評価してくれていたコーチがUCCSにコーチとして転職したことで、彼がそこに来る道を作ってくれたというから、何があるかわかりませんね。
その時は彼自身も普通の学生として大学生活を過ごすことになるんだと思ったそうですが、これによってなんとかD2に進学する事が叶ったデリック。
それでも普通の学生として大学を過ごすと思っていたそうですが、努力が身を結び始めます。
細かい経緯は省きますが、そこで身長も伸び、バスケIQの高さを見せたことから一定の注目を受けることになったデリック。
そこから名門コロラド大に編入することに。
そしてコロラド大で活躍し、スパーズからドラフト29位で指名され、NBAに行く夢が叶ったわけですね。
同じようなキャリアとして思い浮かぶのは、D3からD1編入を成功させ、ドラフト外ながらも現在はヒートでNBAの座を勝ち取っているダンカン・ロビンソンがいます。
D3からNBAにまで行ったというのは、ちゃんと記録が取られていないらしく、レコードとしてダンカン・ロビンソンしか達成した事がないと言っても差し支えないらしいです。
そう考えるとダンカン・ロビンソンの方が凄いとも思えますが、デリック・ホワイトは2019世界選手権にアメリカ代表として選出された実績があります。
その意味では、有象無象からの伸び率としてデリックの方が上とも言っても良さそうですよね。
どちらが凄いかは見方によって変わるにせよ、現在リーグでダンカン・ロビンソンと並んでアンダードッグ代表と言えるデリック・ホワイト。
その背景からもついつい応援したくなる選手ですが、現在プレイオフで彼の活躍が目立ち始めています。
中には「レイ・アレンに見える」と言われるほどアウトサイドシュートを中心にプレイが好調です。
その理由ととして囁かれているのが息子の誕生。
カンファレンスファイナル第2戦では出産に立ち会うために欠場した彼ですが、無事に息子を授かることができました。
プレイオフ中に子供が産まれると、その後調子が良くなるというジンクスがあります。
近年で良い例を挙げるとすると、ラプターズ優勝時のフレッド・バンブリートが有名です。
プレイオフファーストラウンド、セカンドラウンドと調子が上がらずファンからもその活躍を疑問視され始めていましたが、奥さんが無事子どもを出産した後のカンファレンスファイナルから絶好調に。
2019年のラプターズ優勝に大きく貢献してくれました。
現在、ファンの間ではデリック・ホワイトもバンブリートがそうだったようなダディーフィーバー状態にある(dad energy)と騒がれています。
「子どもを授かってからのデリック・ホワイト=バンブリート」
“Derrick White after having a kid: Vanvleet”
「デリック・ホワイトはパパになってからセルティックスのベストスリーポイントシューターになった笑」
“Derrick White becomes a dad and then the best 3-point shooter on the Celtics lol”
ゲーム1ではスリーポイントを高確率で沈め、テイタムとブラウンのアウトサイドシュートの不調をチームメイトでカバーした1人となりましたね。
他にも“ジミー・バトラー”ジンクスも持つセルティックス。
相手は優勝経験豊富なウォリアーズですが、ポジティブになれる素材はセルティックスが沢山持っているように見えます。
実力と関係ない部分ではありますが、不思議とジンクスに持ってかれることって往々にしてあるので、それがないよりはあった方が気分は良いですもんね!
まだ1試合を消化しただけでどうなるかは予想できませんが、苦労人デリック・ホワイトがパパになり、活躍するエナジーを出し切るところをファイナルで見ていきたいと思います。
AJでした。
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