AJです。
ブレイク・グリフィンといえば、豪快なダンクシュートを思い浮べる人が大多数だと思います。
特に”ロブシティー”クリッパーズ時代のイメージが強くある人がほとんどなはず。
ですが同時に、昨シーズン後半にネッツへ移籍して以降そのイメージは消え去ったと思う人は多いでしょう。
確かに気持ちのいいダンクは時折見せてくれるものの、以前のように“彼がボールを持てばエンターテイメント”というワクワク感はなくなり、
5度のオールスターに選ばれた選手と思わせるプレイはほとんど見られなくなったように思います。
ケビン・デュラント、カイリー・アービング、ジェームス・ハーデンの“オリジナルビッグ3“に加入した形になったグリフィンは、ハーデンがいなくなった後も代わりにビッグ3の1人として名前が上がることもありません。
それはもちろんプレイのワクワク感だけではなく、スタッツシートの見栄えからも推測できる仕方のないことですが、
実はグリフィンが別の角度でとてもワクワクさせられるプレイヤーになっていることを知っている人は意外と少ないかもしれません。
知らなかったファンの方には知って欲しい、今のブレイク・グリフィンの個性です。
それはオフェンスチャージングの獲得頻度。
今シーズンの総獲得数ランキングは以下の通りです。
1 | Blake Griffin | 26 |
2 | Kevin Love | 26 |
3 | Kyle Lowry | 25 |
4 | Garrison Matthews | 25 |
5 | Derrick White | 25 |
彼のオフェンスチャージ獲得数はなんとリーグ1位の26回を記録しています。
平均獲得数でも0.46で1位。あのオフェンスチャージを取るイメージの強いカイル・ラウリーの0.40(2位)よりも上ということを見ただけで獲得数の多さがわかります。
平均出場時間が17.1分という短さでのこの数字は見た目より凄いことだと思います。
(ただしNBAのスタッツランキングに入る最低基準が確か58試合。
グリフィンは今季56試合しか出場しなかったのでリーグリーダーの称号は得られないかもしれませんが、ハッスルスタッツにその規定が当てはまるのか分かりません
*追記 4/12日時点で確認したところランキングから名前が外されていたので、やはり規定の58試合は適応されていました。)
彼がオフェンスチャージ獲得数の多い選手だということは意外に思う人がこれまた多いかもしれませんが、実はデトロイトを去った2020-2021年シーズンも22回のオフェンスチャージを獲得しています。
これはそのシーズンでケンバ・ウォーカー(Kemba Walker)、モントレズ・ハレル(Montrezl Harrell)と並んでリーグトップの数字でした。
今年だけではなく、グリフィンがオフェンスチャージを狙いに行っているタイプの選手に変化しているのは間違いないですね。
これはどうやらチーム方針の結果のようです。
ブレイク・グリフィンがブルックリン・ネッツに移籍先を決めたのはビッグ3に入るためではなく勝ちたいから。
自分が中心選手の上で勝ちたい選手も多い中、ロールプレイヤーに徹することを決めたグリフィンはその意味で評価されるべき選手です。
ピークが過ぎたから無理という意見が聞こえてきそうですが…、それは今回とはまた別の機会にしましょう。
ヘッドコーチのスティーブ・ナッシュもこう語ります。
「彼はキャリアの大部分をオールスター選手として過ごしていたが、私たちとチームになるにあたってロールプレイヤーになった。
彼はその役割を受け入れてくれたんだ。積極的にね。」
“He went from an All-Star player for the most part in his career to a role player with us.
And he accepted it and I think, attack that role.”
-The Athletic
多くない出場時間ながら、彼がチームから明確な役割を与えられていることがわかりますね。
さらにグリフィンがオフェンスチャージの名手(という言葉が合っているのかわからないけど)になった理由には、ネッツが彼をスモールセンターとして使っていることも大きな要因になっているようです。
6‘9“(205センチ前後)とセンターとしては大きいと言えないサイズながら、グリフィンの体がビルドアップされている強靭な肉体なのは有名です。まあ見れば分かるんですが笑
ネッツのコーチ陣がスモールラインナップ時のセンターを彼に任せられるのも、その強靭な肉体あってのことですね。
その体躯はゴシップ誌やファッション誌などにも度々披露されています↓
さらに比べて機動力があるため、パワーでビッグセンターに負けず、スピードで勝つことができるのがここでのアドバンテージ。
グリフィン自身も、そこがチャージング名手となった理由だとわかっているようです。
「選手の中には、いくらかチャージを取るのが簡単な選手もいるよ。
大きい選手の中には少し向こう見ずな奴もいて、そこが狙い目かな。」
“Certain guys, I think, are a little bit easier to take charges on.
Bigger guys, guys that are a little bit more reckless, you kind of key in on those things.”
-The Athletic
NBAでチャージングの規定は、「接触した場合、相手ボールマンがシュートモーション(上に向かう動作)に入った際、ディフェンスが既にオフェンスのコース内でポジションを取れているか否か」です。
ブレイク・グリフィンはその機動力を活かして、少し「向こうみず」な相手センターから意図的にチャージングを狙っていると発言から読み取れます。
これは同じくスモールセンターとしてキャブスで活躍しているケビン・ラブにも当てはまります。
ケビン・ラブもまだまだ良い選手って書いた記事はこっち↓
ケビン・ラブもグリフィンと同じく今シーズンチャージ獲得回数がリーグ最多の26回。
テイクチャージは小さな選手に有利なカテゴリーかと思っていましたが、昨今のスモールボールが定番のシステムの中で、彼らのような機動力があるセンターフォワードが活躍できる分野になってきたのかもしれません。
オールスター常連でもあり、その体格と身体能力を活かしたダンクシュートでファンを魅了していたブレイク・グリフィン。
今はその恵まれた体格を全く別のベクトルで活かしていることが分かります。
多くのファンにとって彼はもう以前ほど見る価値のない選手と判断されている空気がありますが、
グリフィンにとっては、彼の長所を違う使い方で貢献しているだけなのかもしれませんね。
オフェンスチャージングはバスケの中で流れを引き寄せることができるプレイです。
それはもしかすると豪快なダンクよりも重要視されるべきものかもしれません。
プレイオフでは特にディフェンスがないと勝てないと言われる戦いです。
まずはプレイインになりますが、今のグリフィンがプレイオフでどれだけ貢献することができるでしょうか。
シーズン後半戦は欠場が多くなっていたグリフィン。
健康具合がどの程度かもあまり明かされていない今シーズンなので、一体どのくらい出場するかも分からないところではあります。
それでも、この情報を頭に入れておくと、「ブレイク・グリフィンといえばダンク」とばかり思っていた人にとっては新しい彼の見方ができるんではないでしょうか。
マッチアップ相手のキャブスにいるもう1人のオフェンスチャージを得意とする選手、ケビン・ラブと共に頭の片隅に入れて試合を観てみると面白そうです。
…とは言っても、ダンクは期待しちゃうんですけどね。
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