AJです。
CJマッコラムを手放し、本格的にチームの作り直しに着手する事が予想されていたポートランドトレイルブレイザーズですが、オフシーズンに早速トレードに踏み出しましたね。
獲得したのはなんとリーグ屈指のツーウェイプレイヤー、ジェレミ・グラント。
リーグでもトップレベルのツーウェイウィングと評価されている選手です。
ドラフトの直前に実行されたので、ドラフト日に行われる予定だったクリスチャン・ウッドのトレードより先に行われ今オフシーズン初のトレードになりましたね。
メディアからもファンからも賞賛の多い今回の獲得ですが、ブレイザーズにとって具体的にどんなメリットがあるでしょうか?
さらに今回の獲得によって予想できる今後の動きや残る疑問点も出てきます。
ジェレミ・グラント獲得によるメリット
まずブレイザーズのジェレミ獲得によるメリットは何でしょうか?
何よりも言えるのは、チームが長い間欲しかった人材の獲得に成功したという事です。
ブレイザーズは、デイミアン・リラードの隣に据えるサポーティングキャストとしてジェレミのようなオールラウンドプレイヤーを求めていました。
昨シーズン途中にブレイザーズからトレードされたCJマッカラムも、ESPNのTVプログラム内でこのことについて言及していますね。
「彼はチームにとてもフィットすると思うよ。
ブレイザーズは彼を長年狙っていたと思う。獲得できるタイミングが今来たっていうだけだ。」
“i think he’ll fit extremely well.
That’s a guy that was probably targeted for a long time ago. Just the timing kind of worked out.”
-CJ McCollum on ESPN
実はブレイザーズ、その人材として2年前にロケッツからロバート・コビントンの獲得を行いそのポジションの補填を狙いました。
個人的にはとてもフィットしている選手だったと思いますが、チームが求めた部分を全て解決はしてくれなかったようです。
単純にコビントンの代わりをジェレミ、というわけではないのですが、
ここでは単純にコビントンで解決できなかった、しかし今回のジェレミ獲得によって解決できそうな部分に焦点を当て比較してみます。
まず、コビントンはリーグでも評価されているスリー&Dのベテランプレイヤー。
リーグ経験の長い3&Dのベテラン選手としては、
PJタッカー、ダニー・グリーンと並んで有名な選手ではないでしょうか。
これら2人は優勝まで経験していますが、コビントンもこの選手たちと並んで(場合によってはそれ以上に)評価を受けているベテランフォワードです。
しかし、The Athleticの批評によるとコビントンはロックダウンディフェンスというよりチームディフェンスタイプの選手と言われています。
個人的にはマンツーマンでも良いディフェンスをしているとは思いますが、確かに、ディフェンス面ではマンツーだけでなくヘルプからのリムプロテクトやスティールも目立ちます。
コビントンはシーズンアベレージで平均スティールとブロックを1.0以上記録できる数少ない選手なので、彼の持ち味はここにあるように思いますが、
カワイ・レナード、ポール・ジョージ、レブロン・ジェームス、ステフ・カリー、ルカ・ドンチッチなど、様々なタイプの選手に対してストッパーの役割を期待するにはより若くアスレチックな人材が欲しかったという事なのかもしれません。
ジェレミはコビントンより若く運動能力の高い選手なので、ブレイザーズが求めていた人材というのも理解できます。
そして何より、コビントンと比較して圧倒的に改善される問題がジェレミの得点力です。
コビントンにも得点能力はあり、クリッパーズに移籍してからキャリアハイと言える試合を残しましたが、ハイライトから見ても分かる通りその得点のほとんどがスリーポイント。
タイプがタイプなので当たり前ですが、ほとんどがキャッチ&シュートのスタイルですね。
それと比較すれば、ジェレミ・グラントは様々なパターンからオフェンスを展開できる事がデトロイトの2年で分かっています。
リラードの得点力はリーグトップレベルと言えど、チームとして得点のバリエーションは欲しいところ。
アンファニー・サイモンズの得点の仕方はほぼCJと同じですし、ナーキッチにも期待したいもののボールを供給した時どれくらい得点を伸ばせるかは不安定です。
リラード中心のチームシステム的にブレイザーズで平均20得点を記録できるかは怪しいですが、15~18得点は期待していいと思うので、一桁得点に収まっていたコビントンと比べると嬉しいジャンプアップになるはずです。
さらに昨シーズントレードで獲得しているジョシュ・ハートの存在を合わせると、ウィングのディフェンス力はリーグ屈指になったかもしれませんね。
グラント獲得でもチームに残る疑問点
一方で、不安な点もまだまだあります。
多くのメディアも議論を展開しているように、ブレイザーズの補強はこれで終わりと言ってはいけなさそうです。
優先事項だったサイモンズとナーキッチとの再契約にこぎつけたのは確実なプラスですが、ジェレミ・グラント加入だけでウェスタンカンファレンスを勝ち抜けるかは疑問の声も多くあります。
リラードとチームを作っていくと決めたブレイザーズですが、リラードはもう31歳。
数年かけてチーム作りをする余裕はないですよね。
またしてもコビントンとの比較になってしまいますが、ジェレミを獲得したことでコビントンがいた場合とどれ程変わるのか?を不安視するメディアもちらほら。
リラード中心のチームとして動くとなれば当然、ジェレミの得点パターンはオフボールが多くなる事が予想されます。
アウトサイドのコーナー待ちが多くなるのも必至ですよね。
ジェレミ・グラントのスリーポイント%はデトロイトでの2年で約35%。
コビントンはここ2年でも38%弱を記録しているので、このカテゴリーではやはり名手のコビントンの方が上に見えます。
3Pts% | 2020-2021 | 2021-2022 |
Robert Covington | 37.9% | 37.8% |
Jeremi Grant | 35.0% | 35.8% |
希望があるとすれば、3、4年ほど前のOKC時代やデンバー時代での確率は38%台で推移していたので、自身がファーストオプションじゃなければ精度が上がる可能性はあります。
しかしやはり、アウトサイドシューターとしての役割で見るとコビントンの能力が高かったので、ここがひとつの疑問点にはなってしまいますね。
もうひとつは、ジョシュ・ハートの存在。
前述もした通り、ジョシュ・ハートとジェレミ・グラントの組み合わせはディフェンスに関して脅威になり得るコンビになりますが、役割が被っているとも言われています。
ジョシュ・ハートは昨シーズン所属チームが故障者続出の中、ブレイザーズやペリカンズでの活躍でゲームコントロール力やオフェンス力の評価を上げた選手です。
ブレイザーズも彼に期待している事が伺え、キャリアアップのチャンスにいると考えられます。
ただでさえリラード、サイモンズには大きくボールを持つ時間帯が保証されている中、ハートとジェレミはボールシェアを分けないといけないと見られているので、ジェレミの得点力がピストンズ時代の何%出せるのか、予想するのが難しいところ。
再契約した正センターのナーキッチさえ、彼を活かすにはもっとボール供給を増やす必要があると言う意見もあるだけに余計心配になります。
チーム方針次第にはなりますが、せっかくジェレミ・グラントを獲得したものの、彼を活かせるかどうかが気になるところですね。
まとめ
今回はオフシーズン最初に起きたトレード、ブレイザーズのジェレミ・グラント獲得によるメリットとデメリットになり得る疑問点について言及しました。
グラントの獲得は確実な前進と評価でき、
その得点能力、得点パターンが増えることはチームにとって確実にプラス。
ディフェンス面でもウェスタンカンファレンスのスター選手たちをロックダウンさせる一役を担う存在になれそうです。
一方で、単一的な見方をすればコビントンで良かったんじゃないかという疑問点も、スリーポイントの確率やオフェンスでのフィット感をボールシェアの目線で見て不安視する意見もあります。
こればかりはシーズンが始まってみないとわからないフィット問題ですが、大方の予想では大きくハマるというポジティブな面が今のところ多く意見されているトレードでした。
今後の補強も含めて、予想をしながらシーズンが始まるのを楽しみにしたいですね。
参考にしたメディア:
https://theathletic.com/3379012/2022/06/22/jerami-grant-trade-grades/?source=user_shared_article
コメント